神殺しのクロノスタシス2
よーいどん、でスタートし。

僕を含めた他四人は、お題の紙が入ったボックスに手を突っ込んだ。

面倒臭い注文されませんように。

箱の中から一枚を選んで、引っ張り出す。

よし。これにしよう。

根拠はないが、これが良いような気がした。

とりあえず、開けてみよう。

ぺりっ、と開けて中を見ると。

『ハゲたおじさんと一緒にゴールする』

「…」

…なぁ。

これ、考えたの誰?

僕はどうすれば良いんだ。

観客のテントを回って、「お客様の中に、ハゲた方はいらっしゃいませんか!」って言えば良いのか。

誰が名乗り出るのか。

僕はもしかして、最高難易度のお題を引いてしまったのでは?

チェンジで、と言いたいところだったが。

残念ながら、一度開いてしまったら、お題を変えることは出来ない。

おのれ。

仕方ない。テントを回って、さりげなく男性陣の後頭部を眺め、これという人に協力してもらおう。

勿論、お題の紙は見せずに、な。

こんなの見せられたら、誰だって怒るに決まってる。

「俺の何処がハゲてんだ!」とか言って。

何処がって、頭だよ頭。

「…あ」

僕は、ふととある名案を思い付いた。

審査員は、羽久・グラスフィア。

なら、行けるんじゃないか?

多少危険…ではあるものの。

運動会で、誰よりもハイになっている今なら。

こうして、すぐ悪巧みを思い付いてしまうのが、僕の悪い癖だ。

そして、その悪巧みを決行せずにはいられないのも。

「…ちょっと、やってみましょうか」

運が良ければ、僕の欲しい何かが手に入るかもしれない。
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