神殺しのクロノスタシス2
いざ、図書室に到着。

「何処に魔導書が落ちてるんだ…?」

俺は、懐中電灯を右に左にと動かして、例の魔導書とやらを探す。

「ひぃぃ…。怖い…」

シルナは、真っ暗な図書室に怯えまくっていた。

『禁忌の黒魔導書』とやり合った奴が、何を今更。

イーニシュフェルト魔導学院の図書室は、かなり広いからな。

どの辺に落ちてるのやら。

「シルナ、ちょっと別行動して手分けして、」

「無理無理無理無理!絶対無理っ!」

首がねじ切れるんじゃないかという勢いで、首を横に振るシルナ。

そんなに嫌か。

「だからって、この広い図書室を隈無く探すなんて、」

と、俺が言いかけたそのとき。

ドサッ、と。

図書室の何処かから、何かが落ちる音がした。

「うぴゃぁぁぁぁぁっ!」

耳元で叫ぶなよ。

物音より、シルナの叫び声の方にびっくりした。

「今の音、何処から…」

「駄目だよやっぱりいるんだお化けがお化けがお化けがうちの学院にこれもうどうしたら良いの話し合って平和的にお引き取りを、」

「シルナ。良いから、お前はちょっと落ち着け」

ちょっと物音がしただけで、これだよ。

「音がした方に行ってくる」

「待って!何か出てきたらどうするの!?危ないよ!」

「その何かを探る為に、ここまで来たんだろうが」

その真偽を確かめないことには、イーニシュフェルトの七不思議とやらが、本物になってしまう。

さすがに本物は不味いだろう。

シルナが来ないなら、置いていくまでだ。

「私を置いていかないで!一人にしないでよ~っ」

半泣きのシルナが、俺の背中にしがみついてきた。

来るのか来ないのか、はっきりしろよ。

「えっと…。何処だったか…。あぁ、この辺だったか?」

俺は、懐中電灯で図書室の床を照らした。

それらしきものは何も…。

「…ん?」

「ぴぇっ!」

奥の方に、一冊の本が転がっていた。

え。マジで?
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