神殺しのクロノスタシス2
最初は、戸惑いがちだった生徒達だが。

お花見会も中盤を過ぎると、徐々に打ち解けてきた。

「えっ。じゃあエリク君は、シャネオンから来たの?」

「はい…。そうなんです」

「そっか~。じゃあこっちは寒いでしょ」

「あはは…。そうですね、向こうはもうとっくに桜も咲いてましたし…」

南方都市シャネオン出身の生徒とお喋りしたり。

「へぇ~。ナタリアちゃんのお姉さんも、聖魔騎士団の魔導師なんだ?」

「はい…。姉はイーニシュフェルトじゃなくて、ラミッドフルス魔導学院の出身なんですけど…」

「そっかぁ。じゃあ姉妹揃って優秀なんだねぇ」

「そ、そんな…」

魔導師の姉を持つと言う、女子生徒と話したりしていた。

ラミッドフルス出身の姉…か。

その頃は多分、まだイレースがいただろうから、そのお姉さん、大変だったろうな。

しかし、姉がラミッドフルス、妹がイーニシュフェルト魔導学院に入学するとは、本当に凄い才能だ。

代々魔導適性に優れた一族なのかもしれないな。

更に。

「えーと…。ナジュ君、だったかな?」

「はい?」

シルナは、向かい側で弁当を食べる男子生徒に声をかけた。

「ナジュ君は何処出身?ご家族は?」

「僕はセレーナ出身ですよ。家族もセレーナに」

「そうなんだね」

王都生まれか。

イーニシュフェルト魔導学院の所在地は、王都セレーナにあるが。

毎年、全国各地から入学希望者が集まるので、割と生徒達の出身地はバラバラだったりするのだ。

南方都市から来る生徒もいれば、北方都市から来る生徒もいる。

勿論、ナジュという生徒のように、王都出身の生徒もいる。

「皆、これから六年間宜しくね。何か困ったことがあったら、いつでも学院長室に来てね。何もなくても来ても良いよ。お菓子用意して待ってるからね」

シルナがそう言うと、生徒達は無邪気に笑った。

すっかり、緊張は溶けたようだ。

新入生達はこうして、毎年このお花見会で、シルナの人柄を知る。

意外に侮れない、大事な行事だったりするのだ。
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