神殺しのクロノスタシス2
「…お前には失望した」

僕のスポンサー。

の、仲間の一人。

つまりモブ…名前は確か、パーシヴァルだったか。

そのパーシヴァルは、久々に僕の姿を見るなり、そう吐き捨てた。

おいおい。

「久々の再会で、最初に言う台詞がそれですか」

「そう言われることくらい、分からないお前ではないだろう」

「まぁそうなんですけど」

僕のスポンサー組織が、僕に何を期待しているのかは知ってる。

そして、同時に。

僕が、その期待に応えられていないということも、知ってる。

だからこそ、言わせてもらおう。

「随分偉そうじゃないですか。…モブの癖に」

「何だと…?」

「違いますか?危険に身を晒して、イーニシュフェルト魔導学院で、びくびくしながら潜入任務をこなしてる僕に対して、あなたが何をしてたって言うんですか?」

精々、この「アジト」でダニでも養ってたくらいだろ。

まぁ、この「アジト」にダニは出ないがな。

何せ、ここは魔法で作られた異空間。

かのルーデュニア聖王国、聖魔騎士団魔導部隊大隊長の一人、ルイーシュとかいう魔導師が、得意にしている空間魔法。

その空間魔法を使って、誰にも見つけられない「アジト」を作り上げた。

ここなら、聖魔騎士団に見つかることもないし、気づかれることもない。

盗聴の危険もないしな。

ここが、僕のスポンサーが作った組織。

その名を、『カタストロフィ』。

破滅を意味するその言葉を選んだのは、我らのリーダー。

すなわち、僕のスポンサー。

「…遅かったな」

腕組みをして、彼女が僕の前に現れたのは。

ヴァルシーナ・クルス。

地下組織『カタストロフィ』の統率者である。
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