神殺しのクロノスタシス2
空っぽの分身を、いくら観察しても意味がない。
得られる情報は限られている。
でも、先程も言ったように、分身でないシルナ・エインリー本体に会うのは、危険が過ぎる。
僕が『カタストロフィ』のスパイであることに気づかれたら、それはもう、厄介なことになるに違いない。
まぁいつかはバレるのだろうけど。
今は、そのときではない。
「…じゃ、羽久・グラスフィアは?」
同じく幹部の一人、クィンシーが尋ねてきた。
そう来たか。
そう来るよな。
羽久・グラスフィアとシルナ・エインリーは、セットみたいなものなんだから。
でも。
「あいつは駄目ですよ」
僕は、吐き捨てるようにそう言った。
「駄目?」
「空っぽだから。シルナ・エインリーの分身よりはマシですけど」
羽久・グラスフィア。
あの男は、羽久・グラスフィアであって、羽久・グラスフィアではない。
かといって、シルナ・エインリーのような分身でもない。
本人なのに、本人じゃないのだ。
あれじゃ、いくら観察しても、得られる情報は限られる。
「空っぽ…。では、噂は本当だったようだな」
と、ヴァルシーナ。
そのようですね。
「あの男…。シルナ・エインリーの腰巾着。あれは所詮、紛い物だと」
「えぇ」
実に残念だ。
彼が本物であったなら。
僕の願いは、すぐにでも叶えられたかもしれないのに。
「それを知れただけでも、充分な成果だ」
「はいはい。お褒めの言葉、ありがとうございます」
そのくらいの戦果があるのは当然、みたいな顔して褒められても、ちっとも嬉しくはない。
得られる情報は限られている。
でも、先程も言ったように、分身でないシルナ・エインリー本体に会うのは、危険が過ぎる。
僕が『カタストロフィ』のスパイであることに気づかれたら、それはもう、厄介なことになるに違いない。
まぁいつかはバレるのだろうけど。
今は、そのときではない。
「…じゃ、羽久・グラスフィアは?」
同じく幹部の一人、クィンシーが尋ねてきた。
そう来たか。
そう来るよな。
羽久・グラスフィアとシルナ・エインリーは、セットみたいなものなんだから。
でも。
「あいつは駄目ですよ」
僕は、吐き捨てるようにそう言った。
「駄目?」
「空っぽだから。シルナ・エインリーの分身よりはマシですけど」
羽久・グラスフィア。
あの男は、羽久・グラスフィアであって、羽久・グラスフィアではない。
かといって、シルナ・エインリーのような分身でもない。
本人なのに、本人じゃないのだ。
あれじゃ、いくら観察しても、得られる情報は限られる。
「空っぽ…。では、噂は本当だったようだな」
と、ヴァルシーナ。
そのようですね。
「あの男…。シルナ・エインリーの腰巾着。あれは所詮、紛い物だと」
「えぇ」
実に残念だ。
彼が本物であったなら。
僕の願いは、すぐにでも叶えられたかもしれないのに。
「それを知れただけでも、充分な成果だ」
「はいはい。お褒めの言葉、ありがとうございます」
そのくらいの戦果があるのは当然、みたいな顔して褒められても、ちっとも嬉しくはない。