神殺しのクロノスタシス2
スパイはスパイで、苦労があるんだぞ。

この秘密のアジトで、のんびりと僕の情報という定期便を待ってるだけのあんたらには、分からないだろうが。

受けたくもない授業を受け。

特に目立たないよう、普通の生徒の振りをし。

クラスメイトの皆さんとも、良好な関係を築いたりさ。

それが、どれだけ面倒臭いことか。

そんな苦労をさせられてるのに、アジトに帰ってきてみれば。

大した獲物を持ってこなかった役立たず、扱いだからな。

離反してやろうかな。もう。

やめさせてもらえるなら、喜んでやめるぞ。僕は。

イーニシュフェルトも、『カタストロフィ』もな。

しかし、ヴァルシーナは。

「…ナジュ・アンブローシア」

「はい」

「これ以上学院に潜入して、リスクを負って、重要な情報を得られる自信はあるか」

嫌なこと聞いてくるね、君。

お前、これ以上役に立つことあるの?って聞いてるようなもんだ。

悪かったですね。

「努力はしてみますよ。絶対とは言えませんけど」

「…分かった」

ヴァルシーナは、ここにいる全員に向けて言った。

「我々の計画は、次の段階に入ることとする」

…いよいよ、か。
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