神殺しのクロノスタシス2
その名は、イレース・クローリア。

イーニシュフェルト魔導学院の、唯一の女性教員である。

「えっ、イレースちゃん、行ってくれるの?」

「別に構いませんよ。ラミッドフルス魔導学院にいた頃は、毎年私が参加してましたし」

あぁ、成程。

今年こそ、所属する学院は違うものの。

例の委員会とやらには、毎年行っていたのか。

ならば、安心して任せられる。

むしろこういう場面では、イレースに任せた方が良い。

シルナだったら、生徒を甘やかす意見しか言わないだろうからな。

イーニシュフェルトは元々、(シルナのせいで)校則だの規律だのには、ちょっと優し過ぎる。

ちょっとは厳しくなるくらいで、丁度良い。

そこにイレースは適役だ。

毎年会議に参加して、勝手も分かってるし。

何しろ、この性格だ。

シルナのように、甘ったれたことばかり言わない。

「良かった!じゃあ、じゃあイレースちゃん、お願いして良い?」

「分かりました。委員会の方には、私が顔を出しましょう。…その代わり」

…その代わり?

「…私がいない間、業務をサボらないこと。良いですね?」

「…ふぁい…」

びっくびくのシルナ。

気の毒な。

帰ってきたとき、もしシルナがだらーん、としていたら。

今度こそ、シルナは黒焦げだな。
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