神殺しのクロノスタシス2
時刻は、午後一時半。

丁度、午後の授業が始まり出したところだ。

今日の授業は、『雷魔法基礎Ⅰ』という科目。

教壇に立ってそれを教えているのは、女教師。

女教師と言っても、あくまであれは、シルナ・エインリーの分身の一人だ。

イレース・クローリアではない。

彼女は今、王都にはいない。

従って、今、この学院にいる教師は、二人だけだ。

本物のシルナ・エインリーと。

そして、空っぽの羽久・グラスフィアだけ。

だから、この日を選んだ。

敵の戦力が一つ減った今が、好機と見た。

あの女の場合、シルナ・エインリーとは違って、容赦なく杖を向けてくるだろうからな。

彼女がいないのは好都合。

羽久・グラスフィアが不安要素ではあるが…。

まぁ、僕はスポンサーの意向に従うだけだ。

ヴァルシーナがやれと言うから、やる。

それだけだ。

…さぁ、手筈通りに始めよう。




…カタン、と音を立てて。

僕は、立ち上がった。

偽りの学生生活は、これで終わりだ。

さぁ、陰キャの学生なら、誰しも一度は言ってみたかった台詞を。

僕が、代わりに言ってあげよう。

「…この教室は、今から僕が占拠します。全員立って、両手を上げてください」





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