神殺しのクロノスタシス2
シルナの分身が、消された。

一体何故、そんなことに。

とにかく。

「何処だ?どのクラス?」

シルナの分身を、一撃にして消せるほどの実力を持った何者かが、この学院の中にいる。

俺とシルナと天音以外の、何者かが。

「1年Aクラス。『雷魔法基礎Ⅰ』の授業」

シルナは、素早くそう答えた。

普段はだらだらしてるようにばかり見えるし、実際だらだらしてばっかりなのだが。

これでも、有事の際には頼りになるのだ。

「すぐ行く」

「待って、羽久」

何?

「怪我人が出るかもしれない。天音君を呼んできて。私が先に行くから」

「…!」

…怪我人、だと。

この学院で、生徒達を預かっている俺達が、怪我人を出す訳にはいかない。

それに、今はイレースがいない。

有事の際、助けは何人いても困らない。

天音は非常に高度な回復魔法の使い手だし、戦力にもなる。

シルナの分身を殺した「犯人」は、きっと並みの相手ではない。

何が起きたのかは分からないが、とにかく。

まずは、動かなくては。

「分かった。天音を呼んでくる」

「お願いね」

素早く会話を交わし、俺達は離れた。

天音を呼んで、すぐに1年Aクラスに向かうつもりだった。
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