神殺しのクロノスタシス2
side羽久
──────…天音を連れて、1年Aクラスに来てみたら。
シルナが、あのシルナが。
青ざめた顔をして、そこにいた。
ただならぬ何かが起きたのだと分かった。
「は、羽久…」
「大丈夫か、シルナ」
「…」
全然大丈夫じゃなそうだ。
俺が呼び掛けてくれなかったら、どうなっていたか。
シルナがこれほど狼狽しているのだ。教室の中は、きっと阿鼻叫喚に違いない。
そう思って、俺はシルナを守るようにして、教室内に飛び込んだ。
確かに、教室の中は阿鼻叫喚だった。
生徒達が全員、教室の後ろに固まって、両手を上げていた。
だが、それだけだった。
シルナがこれほど狼狽しているのだ。
教室の中に、赤い絨毯が出来ているかもしれない…くらいのことは、覚悟していた。
でも、そんなことはなかった。
生徒達は、全員無事だ。
怯えた顔をしてはいるけれど、怪我人はいなさそうだ。
しかし、それなら何故シルナはこんなにも…。
「あぁ…。来ましたね。空っぽのお人形さんが」
「…お前…」
この教室の中で、唯一余裕たっぷりの表情をしている人間。
彼は、イーニシュフェルト魔導学院の制服を着ていた。
こいつ、見覚えがあるぞ。
確か風魔法の授業のときに…。
「覚えて頂いて光栄です。空っぽの羽久・グラスフィア先生」
「…空っぽ…だと?」
「えぇ。気づいてないんですか?」
…それは。
いや…今は、それは、そんなことは、どうでも良い。
「お前…シルナに…何をした?」
「何も。ただ、本当のことを言っただけですよ」
本当のことって…こいつ、まさか。
まさか、シルナの過去のこと、知って、
「…『殺戮の堕天使』」
俺の後ろにいた、天音が。
顔面蒼白で、そう呟いた。
シルナが、あのシルナが。
青ざめた顔をして、そこにいた。
ただならぬ何かが起きたのだと分かった。
「は、羽久…」
「大丈夫か、シルナ」
「…」
全然大丈夫じゃなそうだ。
俺が呼び掛けてくれなかったら、どうなっていたか。
シルナがこれほど狼狽しているのだ。教室の中は、きっと阿鼻叫喚に違いない。
そう思って、俺はシルナを守るようにして、教室内に飛び込んだ。
確かに、教室の中は阿鼻叫喚だった。
生徒達が全員、教室の後ろに固まって、両手を上げていた。
だが、それだけだった。
シルナがこれほど狼狽しているのだ。
教室の中に、赤い絨毯が出来ているかもしれない…くらいのことは、覚悟していた。
でも、そんなことはなかった。
生徒達は、全員無事だ。
怯えた顔をしてはいるけれど、怪我人はいなさそうだ。
しかし、それなら何故シルナはこんなにも…。
「あぁ…。来ましたね。空っぽのお人形さんが」
「…お前…」
この教室の中で、唯一余裕たっぷりの表情をしている人間。
彼は、イーニシュフェルト魔導学院の制服を着ていた。
こいつ、見覚えがあるぞ。
確か風魔法の授業のときに…。
「覚えて頂いて光栄です。空っぽの羽久・グラスフィア先生」
「…空っぽ…だと?」
「えぇ。気づいてないんですか?」
…それは。
いや…今は、それは、そんなことは、どうでも良い。
「お前…シルナに…何をした?」
「何も。ただ、本当のことを言っただけですよ」
本当のことって…こいつ、まさか。
まさか、シルナの過去のこと、知って、
「…『殺戮の堕天使』」
俺の後ろにいた、天音が。
顔面蒼白で、そう呟いた。