神殺しのクロノスタシス2
『殺戮の堕天使』…だって?

それは確か…天音と、天音のいた村を襲った、極悪な魔導師…。

「お前…貴様、何故ここにいる!」

天音は、殺気を迸らせて杖を向けた。

「あれ?あなた何処かで見覚えが…。あぁ」

思い出したというように、ぽん、と手を打った。

「思い出しましたよ。何でも、辺境な村で優秀な魔導師がいるとかで、勧誘しに行ったんでした」

…まさか。

「でも、噂だけだったみたいですね。あれだけ人質を殺されたのに、ろくな魔法も使わないし」

まさか。

「得意なのは回復魔法だけ。僕達にはそんな魔導師は要らない。全くあれは骨折り損でしたよ」

まさか。まさか。

天音の村を襲った『殺戮の堕天使』というのは…。

「しかし、生きてたんですね。致命傷を与えたつもりだったんですけど。回復魔法が得意な分、自己治癒力も高いってことなんでしょうか。まぁ、何にせよ…」






「…良かったですね、生きてて」

嘲笑うように。

せせら笑うように。

『殺戮の堕天使』は、俺達の目の前でそう言い放った。







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