神殺しのクロノスタシス2

…そこからの一日が、どれだけ大変だったか。

人質にされていた生徒達は、全員無事に解放された。

幸い、怪我人もいなかった。

犠牲者と言えばシルナの分身だが。

あれはあくまで分身だから、特に問題ない。

それより、生徒の心のケアをする方が大事だった。

突如として、目の前で魔法の戦いを見せられたのだ。

しかも、ついさっきまでクラスメイトだったはずの生徒が。

何が何だか分からないと、パニックになるのも仕方ない。

狼狽え、戸惑い、怖がって怯えている生徒達を、俺とシルナは懸命に宥めた。

もう大丈夫だから、何も心配しなくて良いからと。

人質にされた生徒達だけではない。

校舎の中で、これだけの大騒ぎがあったのだ。

他のクラスの生徒達も、校舎の何処かから聞こえてくる戦闘音に、怯えていない訳がなく。

一体何事なのか、避難した方が良いのか、その場にいた方が良いのか、どうしたら良いのか。

混乱する生徒達に向けて、校内放送で落ち着くように呼び掛けた。

とにかく、今日の授業はこれ以降中止にする。

全生徒は学生寮に戻り、自習するようにと指示を出した。

生徒達は、きっと納得行かなかったに違いない。

でも、今はそうするしかなかった。





…そして。





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