神殺しのクロノスタシス2
…ここに集められた時点で。

と言うか、昨日連絡を入れた時点で。

皆、そうなることを予測していたのだろう。

狼狽えるような者は、一人もいなかった。

…まぁ、キュレムの隣に若干一名、「えー…」みたいな顔をしていたけど。

それは気にしないことにして。

「『殺戮の堕天使』の捜索か…。言うは易しだが、現状奴らの居場所は分かってないんだろ?」

と、ジュリス。

「うん。エリュティア君の探索魔法で、ある程度の目算をつけてもらうとして…」

あとは、虱潰しだな。

とにかく、徹底的に探しまくってやる。

「その為に、これから、全員…」

「ちょっと待ってくれ、学院長」

アトラスが、声をあげた。

「アトラス君?」

「俺に出来ることなら何でもやる。だが、シュニィは巻き込まないでくれ。今回ばかりは…」

「アトラスさん…!私なら大丈夫です。もう悪阻も落ち着いてますし、この非常時に、私だけ何もしないなんてこと」

「馬鹿言うな。お前と、お腹の子に何かあったらどうするんだ」

おいおい。夫婦喧嘩始まってるぞ。

アトラスは相変わらずだな。

だが、心配は要らない。

「シュニィちゃんとアトラス君は、捜索部隊には入れてないよ。ここで、いつも通り聖魔騎士団に残って欲しい」

「…学院長…」

「シュニィちゃんに無理させる訳にはいかない。当然だよ」

その通り。

もし、身重のシュニィを無理矢理連行し、捜索部隊に派遣して、万一のことがあろうものなら。

アトラスが、邪神より恐ろしい化け物と化すのは明白。

「それにね、今回は全員、二人一組になって、残留組と捜索組に分かれてもらおうと思ってるんだ」

シルナは、皆にそう説明した。
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