神殺しのクロノスタシス2
「…結局、何の成果も得られなかったという訳か」

命からがら、イーニシュフェルト魔導学院から脱出し。

「アジト」に戻ってきて、彼らに報告したら、第一声がこれ。

せめて、「よく無事に戻ってきた」くらい言ってくれても良いじゃないか。

イーニシュフェルト魔導学院の、魔導師三人を相手に、逃げてきたんだぞ。

まぁ、食客としてもう一人、魔導師がいたけど。

あれは誤算だった。

折角、上手く行くと思っていたのに。

生徒を人質に取れば、シルナ・エインリーは本性を現す。

そう思ってこその、あの計画だった。

それなのに。

「全て、お前の責任だ」

吐き捨てるように、パーシヴァルが言った。

酷い言われようだ。

まぁ、確かに俺のせいではある。

あいつ、あの村で、あの天音とかいう魔導師。

あいつに、ちゃんととどめを刺しておけば良かった。

いや、放っとけば死ぬと思ってたんだよ。

致命傷を与えたのだから、あとは放置すれば良いと。

そうしたら、ところがどっこい、あいつ、一命を取り留めていたのだ。

とんでもない自己治癒力だ。

前世、ゴキブリだったんじゃないだろうか。

あの傷から生還するとは。

てっきり死んでるものと思っていたから、すっかり忘れていた。

いや、まさか生き返っただけでなく、イーニシュフェルト魔導学院に潜んでいるとは思わないだろう。

向こうも、思っていなかっただろうな。

まさか、仇が同じ屋根の下にいたとは。

お互い気づかない方が良かったな。

お陰で、この様だ。
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