神殺しのクロノスタシス2

sideエリュティア

──────…あの『禁忌の黒魔導書』の封印を解き。

挙げ句、僕の母校であるイーニシュフェルト魔導学院に潜み。

生徒達を人質に取って、ベリクリーデの身柄を要求した。

それだけではない。

彼は、天音という魔導師が暮らしていた村の人々を、虐殺したと言うではないか。

なんということを。

二重にも三重にも、数多くの命を奪い、人々を脅かし、騙し、罪を重ねる犯罪人。

しかも、その犯罪人には、荷担する仲間がいる。

人殺しを何とも思わない、悪逆非道な連中が。

僕達は、これからその凶悪な組織と、戦わなければならない。

そして。

この戦いの火蓋を切って落とすのは、他でもない、この僕なのだ。

エリュティア・アトリーなのだ。

そう思うと、杖を握る手に、無意識に力が入った。
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