神殺しのクロノスタシス2
…物凄い執念だ。

ここまで用意周到に、イーニシュフェルト魔導学院に潜り込むとは。

学院長の目を誤魔化し続けた訳だ。

これだけ用心されたら、手の施しようがない。

…これが、普通の魔導師だったら、だが。

生憎、僕は普通ではない。

自分でこんな風に言うのは、おこがましくて嫌だけど。

探索魔法についてだけ言えば、ルーデュニア広しと言えど、僕の右に出る者がいるかどうか。

無闇さんと月読さんが、苦労してこれだけの『痕跡』を見つけ出してくれたのだ。

シルナ・エインリー学院長が、僕に期待をかけてくれたのだ。

ならば、僕はそれに応える。

「…あまり気負うな」

僕が、肩に力を入れていることに気づいたのだろう。

無闇さんが、そう声をかけてくれた。

「…大丈夫です」

僕は、そう答えた。

自分に言い聞かせるように。

「必ず、探し出してみせますから」

ルーデュニア聖王国、聖魔騎士団魔導部隊の大隊長の名に懸けて。
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