神殺しのクロノスタシス2
僕はその日、家に帰らなかった。

と言うか、それ以降、育ての親には会っていない。

生きているのか、それとも死んでしまったのか。

多分死んでると思う。

彼らには、僕にあるような魔導適性がなかった。

魔力を使えない、ただの一般人だった。

だから、あれからもう何百年もたった。

とっくに、寿命が尽きて死んでいるだろう。

墓は何処にあるのだろう。

知りたくもないし、知ったところで墓参りなんて御免だが。

ただ、いつまで待っても帰ってこなかった僕を、どう思ったのかは聞いてみたい。

少しは探してくれたのだろうか?心配の一つもしてくれたのだろうか。

それとも、厄介者がいなくなったと喜んだのだろうか。

今となっては、もう分からない。

そんなことより。

僕はその日から、リリスと共に生きてきた。

彼女が何者なのか、本当の意味で知ったのは、リリスと初めて会ってから、五年後のことだった。

学校で、教わったのだ。
< 278 / 742 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop