神殺しのクロノスタシス2
「ねぇ、リリス」
「なぁに?ナジュ君」
あの日の夜、いつものように、僕とリリスは同じベッドに寝ていた。
「リリスは、魔物なの?」
回りくどい言い方はしなかった。
イエスと言われようがノーと言われようが、どちらでも構わなかったから。
「うん、そうだよ」
リリスは、あっさりと認めた。
そう。
僕はあの日、自分の知らぬ間に、魔物と契約していたのだ。
リリスは、定期的に僕の首に口をつけて、血を啜っていた。
それまでは、特に気にしていなかった。
その行為が、異常だとは思ってなかったから。
リリスと最初に会ったときもそうされたし、それからも定期的に、リリスは僕の血を求めた。
嫌ではなかった。
リリスが僕に望んでることがある。リリスが僕を求めている。
ならば、他に何の理由がある?
リリスが僕の傍にいてくれる。その代償が、僕の血だと言うのなら。
好きなだけ飲んでくれれば良い。
まぁ、死ぬほど飲まれたら、死んでしまうのだが。
学校で、この世に魔物と呼ばれる存在がいると、教えられるまで知らなかった。
これでようやく、リリスが何者なのか分かった。
「嫌いになった?私のこと」
「ううん」
リリスが何者でも、僕にとってはどうでも良かった。
ただ、確認したかっただけだ。
むしろ、ホッとした。
魔物だったら、きっと人間みたいに、あっさり事故や病気で死ぬことはないだろう。
契約している限り、リリスは僕の傍にずっといてくれる。
それが分かって、安心した。
リリスがいなくなることが、僕にとって一番の恐怖だった。
そう、恐怖。
僕はその頃、かつては感じることさえ出来なかった、色んな感情を覚えた。
楽しいこと。
嬉しいこと。
寂しいこと。
その寂しさが満たされること。
愛されたい人に愛されること。
愛したい人を愛すること。
笑い方。泣き方。
生きる意味も。理由も。
生まれてきた意味も。
何もかも。
彼女が、僕に全て教えてくれた。
リリスは、僕の世界そのものだった。
「…騙そうとしてた訳じゃないんだよ」
「うん」
「ただ、私、ずっと一人ぼっちだから…誰かと一緒にいたかったんだ」
「うん」
それだけで良い。
僕達が一緒にいる理由なんて、それだけで良い。
一人だと、寂しいから。
だから、一緒にいよう。
「…僕を残していかないって、約束してくれる?」
「うん。約束する」
あの夜、僕達は互いに約束した。
「なぁに?ナジュ君」
あの日の夜、いつものように、僕とリリスは同じベッドに寝ていた。
「リリスは、魔物なの?」
回りくどい言い方はしなかった。
イエスと言われようがノーと言われようが、どちらでも構わなかったから。
「うん、そうだよ」
リリスは、あっさりと認めた。
そう。
僕はあの日、自分の知らぬ間に、魔物と契約していたのだ。
リリスは、定期的に僕の首に口をつけて、血を啜っていた。
それまでは、特に気にしていなかった。
その行為が、異常だとは思ってなかったから。
リリスと最初に会ったときもそうされたし、それからも定期的に、リリスは僕の血を求めた。
嫌ではなかった。
リリスが僕に望んでることがある。リリスが僕を求めている。
ならば、他に何の理由がある?
リリスが僕の傍にいてくれる。その代償が、僕の血だと言うのなら。
好きなだけ飲んでくれれば良い。
まぁ、死ぬほど飲まれたら、死んでしまうのだが。
学校で、この世に魔物と呼ばれる存在がいると、教えられるまで知らなかった。
これでようやく、リリスが何者なのか分かった。
「嫌いになった?私のこと」
「ううん」
リリスが何者でも、僕にとってはどうでも良かった。
ただ、確認したかっただけだ。
むしろ、ホッとした。
魔物だったら、きっと人間みたいに、あっさり事故や病気で死ぬことはないだろう。
契約している限り、リリスは僕の傍にずっといてくれる。
それが分かって、安心した。
リリスがいなくなることが、僕にとって一番の恐怖だった。
そう、恐怖。
僕はその頃、かつては感じることさえ出来なかった、色んな感情を覚えた。
楽しいこと。
嬉しいこと。
寂しいこと。
その寂しさが満たされること。
愛されたい人に愛されること。
愛したい人を愛すること。
笑い方。泣き方。
生きる意味も。理由も。
生まれてきた意味も。
何もかも。
彼女が、僕に全て教えてくれた。
リリスは、僕の世界そのものだった。
「…騙そうとしてた訳じゃないんだよ」
「うん」
「ただ、私、ずっと一人ぼっちだから…誰かと一緒にいたかったんだ」
「うん」
それだけで良い。
僕達が一緒にいる理由なんて、それだけで良い。
一人だと、寂しいから。
だから、一緒にいよう。
「…僕を残していかないって、約束してくれる?」
「うん。約束する」
あの夜、僕達は互いに約束した。