神殺しのクロノスタシス2

side吐月

──────…不思議な気分だ。

「…えっと、クュルナさん」

「はい」

僕の傍らには、珍しい人物が立っている。

クュルナさんだ。

大抵、僕はいつも一人で任務をこなすことが多いから。

一人と言うか…一人と一匹なのだが。

だから、こうして他人とペアを組んで任務というのは、少し新鮮だ。

「…えっと。今回は、宜しくお願いします」

「はい。宜しくお願いします」

「…」

「…」

会話終了。

どう話したら良いんだろう…。

別にクュルナさんに対して、疚しい気持ちがある訳ではないが…。

何を話したら良いのやら…。

すると。

「…不安ですか?」

「え?」

クュルナさんは、俺の顔色を伺うように尋ねた。

「心配しないでください。足を引っ張るような真似はしません。あなたは、いえ…あなた方は、いつも通り動いてください。私はサポートに徹しますから」

「あ、いえそういう訳じゃ」

「?」

なんてことだ。

俺が変な沈黙を与えるものだから、誤解させてしまった。

別に俺は、クュルナさんが足を引っ張るかもしれないなんて心配は、全くしてない。

でも、考えてみれば、クュルナさんはやりにくいのかもしれない。

彼女も、俺のような召喚魔導師は物珍しいだろうし…。

「え、えっと…」

「…?」

「作戦…作戦とか、一応考えておきます?」

何とか、言葉を捻り出した。

「作戦ですか…。確かに、今回は連携が複雑ですし…。一応確認しておいた方が良いかもしれません」

あっ、乗ってきてくれた。

良かった。

しかし、これは馬鹿にして良い話じゃない。

今回俺達は、実質三人で戦うことになるのだ。

しかも、三人バラバラで戦うのではない。

正しくは、二人と、一人に分かれることになる。

連携は難しい。

「差し支えなければ…あなたの契約している魔物を、見せてくれませんか」

クュルナさんが、そう頼んできた。

あぁ、そういえばまだ見せてなかったな。

それくらい、お安い御用だ。

「ベルフェゴール。おいで」

俺が呼ぶと、手のひらくらいの小さなコウモリ…ベルフェゴールが現れた。
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