神殺しのクロノスタシス2
「おう!吐月!俺様の出番か!?」

相変わらず、血気盛んなベルフェゴールである。

「うん。ちょっと出番だから。協力してくれないかな」

「任せろ!俺様の手にかかったら、どんな敵もイチコロだ!」

素晴らしい威勢の良さ。

何とも頼もしい相棒である。

しかし。

「…これが、あなたの召喚魔ですか?」

クュルナさんは、目を凝らして俺の手のひらの上を見つめていた。

…あー…。…えっと…。

まぁ、初対面だとこうなるのは仕方ない。

もう、あれだ。お決まりみたいな感じ。

「はい…。ベルフェゴールって名前で…」

「…随分と…。…可愛らしいですね」

物凄くオブラートに包んでくれて、ありがとうございます。

クュルナさんの、「え?こいつ本当に大丈夫?」みたいな表情よ。

ベルフェゴールの、この小さな体躯を見れば、そう思うのも無理はない。

他でもない俺も、最初はそう思ったものだ。

でも、これで物凄く頼もしい相棒なんだよ。

「ん?何だお前は」

ベルフェゴールが、クュルナさんの存在に気づいた。

「初めまして。私、クュルナと言います」

「ほう。何だ、吐月の恋人か?」

噴き出すかと思った。

「同僚です」

「なんだ、つまらんな」

悪かったね。

「今回、私達は三人で連携して戦うことになるので、ミーティングしておこうかと思いまして」

「ほう。成程、お前も魔導師か。道理で良い魔力を持ってる訳だ」

それはそうだ。

クュルナさんは、俺と同じ、聖魔騎士団魔導部隊の大隊長なのだから。

「しかし、残念だったな。お前の出番はないぞ」

え、ちょベルフェゴール。

「何故なら、俺様と吐月が、どんな敵でも倒してやるからな!」

ちょっと何言ってるの、ベルフェゴール。

いくらなんでも、クュルナさんに失礼過ぎる。

これじゃクュルナさんは、「お前は引っ込んでろ」と言われてるのと同じ。

気分を悪くさせたに違いない。

ごめんなさい、うちの召喚魔、ちょっと傲り気味なところがあって。

これから連携しようっていうのに、こんなんじゃ、連携どころか仲間割れが勃発しかねない。

慌てて謝ろうとしたが。

しかし。

「そうですか。それは頼もしいですね」

…あれ?

「あなたは、攻撃特化の召喚魔なんですね」

「おうよ!どんな敵でもドカーンと!バキーンと倒してみせるぞ!」

「分かりました。では、攻撃力上昇の補助魔法と、防御については私に任せてください」

クュルナさんは、平然と言った。

少しも嫌そうな顔はしてない。

あれ…?気を悪くした…訳ではない?
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