神殺しのクロノスタシス2
「気に障りました?学院長先生」

「この身体が…二十音だろうと羽久だろうと、未来ちゃんだろうとステラちゃんだろうと…私は、何でも構わない」

「知ってます。あなたはそうなんでしたね」

「羽久は羽久だ。他の誰でもない」

他の…誰でも…。

「呑まれちゃ駄目だよ、羽久」

シルナが、柔らかな声で言った。

そして、ナジュに対峙した。

「ようやく分かった。君のことが」

「ほう。何ですか?」

「君は他人の心を読むんだ。読心魔法の使い手なんだね」

「…なっ…」

読心魔法…だって?

理論上は可能でも、実際に使っている人を見たのは初めてだ。

読心魔法。文字通り、相手の心を読む魔法。

こいつは…それを使えるって言うのか?

「…ふふ」

ナジュ・アンブローシアは、ぱちぱちと手を叩いた。

「正解、正解、大正解です学院長。さすがですね」

こいつ…認めやがった。

まさか、本当に読心魔法なんてものが。

「使えるんですよ。実は」

…本当に読まれてる。

「あなたが何考えてるのか、よく分かります。あなたより、あなたをよく知ってるんですよ、僕は」

…吐月とクュルナが、あれほど苦戦した理由が分かった。

そりゃ戦闘中に心を読まれたら、作戦も糞もあったもんじゃない。

全部筒抜けなんだから。

「そういうことです。空っぽの羽久・グラスフィアさん」

「…」

「何も考えないようにしても無駄ですよ。意識したら、余計考えてしまうでしょう?」

…そりゃそうだろ。

精神攻撃には、最適じゃないか。

どう相手したら良いんだ。

さすがの俺達も、対策に困る。
< 290 / 742 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop