神殺しのクロノスタシス2
とはいえ。

いかに俺とシルナが連携しようとも、心を読める相手に、どう立ち回れば良いものか。

いくら作戦を立てても、相手に筒抜けでは意味がない。

「当たりませんよ。そんな攻撃じゃ」

「ぐっ…」

右から打とうが左から打とうが、心の中を見透かされていれば、向こうにしてみれば簡単に避けられる。

何処からどんな攻撃が来るのか、お見通しなのだから。

心の中を見られながら、どう立ち回れば良い。

どうすれば、あいつに気づかれずにダメージを与えることが出来る?

畜生。二人がかりで、向こうは一人だってのに。

何だってこんなに翻弄され、掻き乱されなきゃならないのだ。

すると。

「落ち着いて、羽久。苛立ってちゃ、敵の思う壺」

シルナは、あっけらかんとしてそう言った。

…お前。

「危機感ってものはないのか。俺達、二人共心を覗かれて…」

「うん。だから全部避けられるね。いくら作戦立てても、バレてるんじゃ意味がない」

分かってるじゃないか。

「でも苛立っちゃ駄目。余計煽られるだけ」

「じゃあ、どう…」

「簡単な話。知られたとしても、必ず成功する計画を立てれば良いだけ」

「って、何…?」

シルナは、俺の耳元で素早く何かを呟いた。

反射的に、俺はシルナに言われた通りの魔法を使った。

ここまで、ほんの一瞬の出来事だった。

「…!」

俺の心を読んだナジュは、受け身を取ろうとしたが。

しかし。

「…もう遅いよ」

次の瞬間。

ナジュの身体は、シルナの下に組み臥せられていた。

そして、ナジュの杖をもぎ取り、遠くに投げ捨てた。

…決着は、ついた。
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