神殺しのクロノスタシス2
俺達が、何をしたのか。

簡単な話だ。

作戦を読まれても、向こうが対処する前に、決着をつければ良いだけのこと。

俺はシルナに、時魔法をかけた。

シルナの動きを、何十倍にも加速させた。

これだけ速ければ、心を読んでいる暇も、避ける準備も出来ない。

読心魔法が使えても、それだけで絶対勝てる訳じゃない。

故に、ルーチェス・ナジュ・アンブローシアは敗北した。

シルナの前に、屈することしか出来なかった。

そして、改めて。

「…君の目的は何だ?」

「…」

「何の為に、『禁忌の黒魔導書』の封印を解いた?君は…何の為に生きてる?」

「…」

「私は君に勝った。なら、教えてくれるね?」

「…あなたと同じですよ」

彼は、そう答えた。

シルナと…同じ?

「僕はただ、愛する者の為に生きてるだけです」

「…それは、どういう…」

「…僕の望みが何なのか、と聞きましたね。僕が禁書の封印を解き、あなたの学院に潜入し、あなたの敵になった理由は、ただ一つ」

ナジュの瞳から、雫が溢れ落ちた。

「…あなたなら、僕を殺してくれると思ったから」



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