神殺しのクロノスタシス2
不老不死って、どれだけ残酷か分かります?

どんな拷問よりも辛いですよね。

とはいえ、不老はそう珍しくありません。

あなたもご存知の通り、魔力の多い者は…少なくとも、聖魔騎士団魔導部隊の大隊長さん達は、皆不老です。

でも、不死ではありません。

ここに大きな差があるんだってこと、あなたには分かりますか?

不老不死。言うのは簡単ですけど、不老であることと、不死であることは全く別物です。

だって、不老だったら、都合悪くなったら逃げ道があるじゃないですか。

死んで逃げるってことが出来るじゃないですか。

でも不死だったら、何があっても生き続けなきゃならない。

だって死ねないんですから。

逃げることも出来ませんよね。

だから彼女は…リリスは、ずっと孤独でした。

自分で、そう言ってました。

どれだけ仲が良くなろうと、寿命のある人間は、いつか死んでしまう。

死んだら、もう会えない。

リリスは不老不死。故に、『冥界の女王』。

自分では、そう呼ばれることを嫌ってました。

あまりの孤独に耐えかね、冥界からこちらの世界にやって来て。

孤独を埋める為の何かを探しているときに、僕を見つけたそうです。

僕なら、不死でなくても不老ですから。何の因果か、それなりの魔力は持っていたので。

おまけに僕も僕で、自覚のない孤独に苛まれていました。

目が開けるようでしたよ。

あなたにも分かりますよね。

愛する人がいて、その人に愛されることの喜び。

孤独が埋められたときの喜び。

僕は他に何も要りませんでした。

ただリリスが傍にいて、リリスとずっと一緒にいたくて。

その他に、僕は何も欲しくなかった。

リリスもそうでした。

だけど、世界がそれを許してくれませんでした。

僕達二人のちっぽけな恋愛話なんて、そっとしておいてくれれば良いのに。

許してもらえなかったんです。
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