神殺しのクロノスタシス2
「…リリス…?」

「うん、そうだよ」

…。

…僕は、夢でも見ているのだろうか。

それとも、学院長が僕を殺して。

ここはあの世で、そしてようやく再会出来たのだろうか。

いや、もうそんなことはどうでも良い。

「…もう、泣いても良いですか?」

「…良いよ。おいで」

「…っ…」

今まで、他の誰にも見せたことがない。

何百年分もの孤独の涙が、溢れて溢れて、止まらなかった。

僕がみっともなく、恥も外聞もなく、子供みたいに泣いてる間。

リリスもまた、一筋の涙を溢しながら。

でもずっと、僕を抱き締めて、僕も抱き締めて、彼女は僕の背中を撫でてくれた。

「よしよし…。よしよし…。良い子だね、ナジュ君…。相変わらず泣き虫だねぇ」

あなたも泣いてるじゃないか、なんて。

言えないほどに、涙が溢れて止まらなかった。

「ごめんね。君にこんな重いものを背負わせて…。辛かったよね、苦しかったよね…」

「…いいえ」

僕は、涙でぐっちゃぐちゃの顔で、それだけは否定した。

そりゃ重かったよ。

辛かったよ。

苦しかったよ。

でも、でもそれ以上に。

「寂しかった。僕はあなたに会えないことが、凄く…凄く寂しかった…」

「…うん。そうだね」

リリスは、僕をぎゅっと抱き締めた。

「…私も寂しかった」

おかしいよね。

ずっと一緒にいたのに、寂しいなんて。

再び会ったら、言おうと思ってたことがたくさんあった。

でも今、出てくる言葉は、一つしかない。

「…僕、あなたが好きです」

「うん」

「あなたが大好きです。あなたを愛してます。他には何も要らない」

「…うん」

私もだよ、と。

リリスは僕の涙を指で拭った。
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