神殺しのクロノスタシス2
「あー…。ここに来ると、嫌な思い出が…」

と、ちょっとびくびくしてるシルナ。

そういや、いつぞやお前が冤罪で捕まったときも、ここに入れられてたよな。

まぁ、前の俺が壁ぶち壊しちゃったんだけど。

あったなぁ、そんなこと。

もう二度と来ることはないと思っていたが、そうも行かなくてな。

言っとくが、俺は止めたんだぞ。

でも、シルナって、言うこと聞かないから。

頭頑固ジジィだから。

今度、広報の学院長プロフィール欄に、「頑固ジジィ(甘党)」って書いておいてやろ。

「羽久…?また私に失礼なこと考えてない?」

「あー着いた着いた。ほら、さっさと終わらせるぞー」

「逃げた!羽久が逃げた!やっぱり失礼なこと考えてたんだね!?」

失礼なこととは失礼な。

俺は事実を述べたまでだ。

シルナの甘党も、ここまで来れば重症だ。

留置所の係員に、面会許可証を発行してもらい。

俺達は、建物の中に入れてもらった。

向かう先は、ただ一つ。

「…留置所の生活には慣れたか?」

「ん?あぁ…。お久し振りですね」

鉄格子で出来た、檻の向こうにいたのは。

件の、ルーチェス・ナジュ・アンブローシアであった。
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