神殺しのクロノスタシス2
フユリ様と話し合った、結果。

表向きは、「重罪人であり、危険人物であるナジュを、シルナ・エインリー学院長のもとで監視する」ということにして。

実質は、学院の教師名簿に名前が載っているだけ。

無罪放免も同然である。

勿論、フユリ様もそれは理解していた。

だが、ナジュには、情状酌量に値する事情があった。

包み隠さず、シルナはフユリ様に話した。

ナジュが、どれほど追い詰められていたかを。

それに、ナジュもまた、自分のことを包み隠さず自供していた。

留置所に連れてこられても、抵抗もせず、素直にこちらの求めに応じた。

何を聞かれても、沈黙することなく答えた。

自分の罪を素直に認め、質問の一つ一つに詳しく応じた。

どんな罰でも甘んじて受ける、と明言した。

更に、尋問の中でナジュは、『カタストロフィ』についても話した。

ナジュは、自分の意思で『禁忌の黒魔導書』の封印を解いたのではない。

ナジュが協力していた組織、『カタストロフィ』の求めに応じて、封印を解いただけ。

彼は元々、『カタストロフィ』の一員ではない。

そこは、自分でもはっきり言っていた。

ただ利害が一致していたというだけで、協力していたに過ぎない。

ナジュはただ、自分を殺してくれる人を探していただけで。

神の復活とか禁書のこととか、彼本人には全く関心がなかったのである。

だから、もう死ぬ理由がなくなった今、ナジュと『カタストロフィ』との関係はなくなった。

これが、大きな交渉材料になった。
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