神殺しのクロノスタシス2
「…ふぇ~ん…」

「…」

「ふぇ~…」

「…」

「…あうぅ…」

「…さて、職員室戻るか」

「待って羽久!逃げないで!」

うるせぇ逃げるに決まってるだろ。

いつもの、かまちょモードになりやがって。

可愛い女の子がやるならまだしも、大の男、しかも中年のおっさんがやるんだぞ。

キモい通り越して、ゲロだわ。

「聞いてよ羽久~っ!」

「何をだよ」

「凄く悲しいことがあったんだよ。聞いてくれる?」

「嫌だ」

「酷い!」

こいつの悲しいことって、大抵俺にとっては面倒臭い(orどうでも良い)ことでしかないからな。

いちいち相手にしてたら、時間がいくらあっても足りん。

「そういう訳で、俺は職員室に帰る」

「待って行かないで!聞いてよ、ねぇー!ねぇってばー!」

皆さん、ご覧ください。

天下のイーニシュフェルト魔導学院の学院長ともあろう者が。

俺の背中にしがみついて、半泣きで訴えてる。

丁度良いところにイレースとか、来てくれないかな。

黒焦げにしてもらうんだが。

「聞いてよ羽久~。私には羽久しかいないんだよ~」

俺しかいないってことはないだろ。

だが、まぁ。

シルナが、こんな弱味を見せる相手は、確かに俺だけかもしれないな。

「はぁ…。分かったよ。聞くよ」

「!ありがとう羽久!」

「で、何だって?」

「…それがね」

シルナは、涙目で俺に言った。

「…なんか、私、生徒にモテない」

「…」

「…」

「…」

「…聞いてる?」

「…あぁ。丁度警察に連絡しようとしたところだよ」

「え、何で!?」

「教え子に手を出そうとしてる教師がいるから、逮捕してもらうんだよ!」

「えぇーっ!!」

えーじゃねぇ。

聞いたか?今の発言。

やっぱり、イレース呼んでこようぜ。

黒焦げにしてもらおう。
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