神殺しのクロノスタシス2
…なんて話を、シルナに聞かされた。

…まぁ、なんだ。あれだよ。

「…ドンマイ」

「ドンマイじゃ済まないよ!」

シルナ、半泣き。

…うん。

まぁ、それは泣いても良いと思うよ。

「何で!?何でシルナ派がないの!?」

おっさんだからじゃないかなぁ。

「酷いよ皆して派閥作って!私も入れてよ!何で皆私のこと眼中にないの!?」

おっさんだからじゃないかなぁ。

「私も入れてよ~!何で若い子ばっかり~!」

…おっさんだからじゃないかなぁ。

まぁ、俺の…グラスフィア派、ってのが出来上がってる理由は、よく分からんが。

ナジュ派とイレース派は分かる。

二人共、美男美女だからな。

ナジュは正統派イケメン、イレースはクール系美女、って感じだし。

年頃の若い生徒達にとっては、憧れの的だろう。

そこにおっさんの介在する余地、なし。

諦めろ。と、言いたいところだが…。

「…さては二人共、授業中に何かしてるのかもしれない」

「…は?」

自分より遥かに年下の教師達に、年甲斐もなく嫉妬した学院長、シルナ・エインリー。

何か言い始めた。

「もしかしたら、生徒から人気を得ようとして、お菓子でも配ってるのかも!」

お前じゃないんだから、それはないだろ。

特に、風紀に厳しいイレースは。

それなのに。

「…こうなったら、偵察に行くっきゃない!」

「は?」

「羽久もついてきて!」

「はぁ!?」

「どうやって生徒の人気を取ってるのか、見に行かなきゃ気が済まない!」

…どうしよう。

学院長ご乱心。

しかも、そこに俺まで巻き込まれそうになってる。

いや、俺は別に生徒からの人気とか、特にどうでも良いんだけど。

「よし、ちょっと行ってみよう羽久」

「…何で俺まで…」

「まずイレースちゃんからだ。いざ、偵察!」

…何で俺まで?

と言うか、イレース相手に偵察って…。
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