神殺しのクロノスタシス2
更に。

シルナはナジュが怒らないのを良いことに、座学の授業まで覗き見すると言い出した。

お前。もうやめとけって。

ナジュもナジュで、覗き見されていることくらい、分かってるだろうに。

別に見られても良いや、って思ってるんだろうな。

良い意味でも悪い意味でも、裏表ないもん、あいつ。

あとシルナ。お前はいい加減、もう諦めろ。

ナジュの次の授業は、『高度風魔法応用Ⅱ』という科目。

その名の通り、かなり高度な風魔法の魔導理論を教える授業である。

ナジュにとっては、お茶の子さいさいなんだろうけど。

「えー、はい。じゃあ授業始めまーす」

軽いノリで授業始めてんな。

「あー、立たなくて良いですよわざわざ。そんな労力があったら、頭の方に回してください」

クラス委員長が、「起立」と言って立とうとしたのを止め。

ナジュは、テキストを開いた。

「えーと、今日やるのは52ページから…。うわぁ、めっちゃ面倒臭いところじゃないですか」

露骨に顔をしかめる教師。

「皆さんも見てくださいよ。この52ページ。見た目からして難しそうでしょ?」

と、生徒に問い掛ける教師。

「皆さん面倒臭いと思ってるでしょう?実は僕も超面倒臭いです」

非常に素直な教師。

「あと、皆さん『こんなん分かる訳ねぇよ』って思ってるでしょう?実は僕もよく分かってないです」

教師としてあるまじき発言をする教師。

「まぁ一応説明はしますけど、こんな面倒なところ、試験に出しても○×問題で出すので。今日のところは、己の二分の一の運に懸けて、全力で聞いてる振りしながら余所事考えててください。僕も、全力で教えてる振りしながら、余所事考えますので」

そう前置きして、

「じゃあ始めまーす」

何事もなかったかのように、授業を始めるナジュ・アンブローシア。

…自由過ぎるな。
< 338 / 742 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop