神殺しのクロノスタシス2
「…一応、捕虜ってことになるんですかね?」

「…いいえ。あなたはこの場で、これからの聖魔騎士団の方針を決める為の、重要参考人になってもらいます」

シュニィが、きっぱりと答えた。

「ほう…」

そう、重要参考人。

ナジュがここに来たのは、皆がここに集まったのは、その為だ。

「要するに尋問ってことですね。かつての仲間を裏切り、情報を売れと」

「…」

その通りだ。

ただ、言い方が違うだけで。

「…どうします?僕が喋りたくなるように、拷問でもかけてみます?」

「そんなつもりはありません」

「あなたになくても、他の皆さんはどうです?僕に蹴りの一発でも入れてやりたい人、いるんじゃないですか?」

ナジュは、大隊長達に尋ねた。

…一番ナジュを憎んでいたであろう天音を除き。

誰も、手を上げる者はいなかった。

「…あなた、人の心が読めるんでしょう?」

ルイーシュが声をあげた。

「読めますけど」

「だったら、問い掛けるまでもなく、自分が何を話すべきか、もう分かってるんじゃないですか」

「…そうですね」

要するに、ルイーシュが言いたいのは。

そんな面倒臭い前置きは要らないから、さっさと喋れよ、ってことだ。

ルイーシュらしい。

彼にしてみれば、こんな尋問会議はさっさと終わらせて帰りたいんだろう。

俺も帰りたいから、お互い様だな。

「あなた方が僕に聞きたいのは、『カタストロフィ』のことですね」

心を読んだのか、それとも、読むまでもなく分かるのか。

ナジュは、自分からその組織の名前を口にした。
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