神殺しのクロノスタシス2
もう、考えるまでもないな。

聖なる神を復活させ、邪神を滅ぼしたい『カタストロフィ』。

聖なる神を封印し、邪神(という名の二十音)を守りたいシルナ。

そして、シルナの味方をする俺達含め、聖魔騎士団。

完全に対立している。

そりゃ目の敵にされる訳だ。

「その為に、『禁忌の黒魔導書』を解き放ったのか」

と、無闇。

「はい。敵の敵は味方って奴です」

成程ね。

あわよくば、禁書と聖魔騎士団をぶつけて、潰し合ってもらいたかった訳か。

残念ながら、全部討伐させてもらったけど。

「『カタストロフィ』の奴ら、俺達舐め過ぎだろ」

キュレムが不機嫌そうに言った。

聖魔騎士団どころか、折角封印を解いた虎の子の禁書を。

まさか、魔導部隊の大隊長ごときに壊滅させられるとは思ってなかったろうな。

「まぁ、『カタストロフィ』の皆さんも、『禁忌の黒魔導書』だけで聖魔騎士団を潰せると確信してた訳じゃないですけどね」

「禁書の解放は、あくまで尖兵だったと?」

「精々牽制ってところですかね」

『禁忌の黒魔導書』を…精々牽制の為に使う、とは。

余程、その『カタストロフィ』ってのは…。

「…あなたには、答えづらいかもしれませんが」

「何ですか?」

シュニィは、核心をついた質問をした。

「『カタストロフィ』の構成員について、教えてください。どんな方が率いているんですか?」

「…ふむ」

この質問に答えてしまえば、最早ナジュは完全に『カタストロフィ』を裏切ることになる。

元々仲間ではないとはいえ…。

「…なんか、裏切るみたいで嫌ですね」

さすがのナジュも、躊躇うか。

「とはいえ…僕が撒いた種ですし。自業自得ですかね」

「…どうしても答えたくないのなら、無理には…」

「いえいえ良いんですよ。向こうの方も、僕を味方とは思ってないでしょうし」

…それはどうなんだろうな。

「あなた方は多分、『カタストロフィ』をめちゃくちゃデカくて強い組織だと思ってるようですが…」

…ですが?

「『カタストロフィ』のメンバーって、僕を含めても、七人しかいないんですよ」

「…七人…!?」

これには、シュニィもシルナも、俺も驚きを隠せなかった。
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