神殺しのクロノスタシス2
しかも。

ナジュを含めて七人って言ったら、ナジュが離脱した今、もう六人しかいないってことじゃないか。

「じゃあ、今は六人なんですか?」

「そうなりますね。僕抜けましたし」

六人…たった六人。

『禁忌の黒魔導書』の数より少ないじゃないか。

何だそれは。

そんなの組織と言えるのか。

ただの同好会じゃないか。

聖なる神同好会。

何て言うか…一気にどうでも良くなってきた。

「たった六人の組織くらい、放っておいても良くないですか?」

と、面倒臭がりのルイーシュ。

ルイーシュじゃないが、俺もそう思い始めてきた。

たかが六人の聖なる神同好会、放っておいても良いんじゃないか。

以前は『禁忌の黒魔導書』なんかを持ち出して、悪さしていたかもしれないが。

それは、ナジュの力を借りてのことだった訳だし。

『カタストロフィ』にとって、大きな戦力であったに違いないナジュが、こちら側についた今。

『カタストロフィ』に、聖魔騎士団と事を構える余裕があるのか?

ナジュの離脱は、向こうにとっても誤算だったのだろうし。

しばらくは、大人しくしてるんじゃないか。

しかし。

ナジュは溜め息混じりに言った。

「僕も、放っておいて良いと思うんですけどねぇ…。でも、向こうは多分放っておいてはくれないでしょう」

「何?」

こちらが放っておくのではなく。

向こうが、放っておいてくれない?

「皆さん、ちょっと考えてみてくれませんか」

ナジュは、珍しく真面目な顔で俺達に言った。

「何をですか」

「例えば、ここにいる六人が、聖魔騎士団を抜けて、ルーデュニア聖王国に宣戦布告してきたら、どうなると思います?」

「…!」

ここにいる六人。

聖魔騎士団団長と、魔導部隊大隊長達。

その中から六人が離脱して、徒党を組んで宣戦布告してきたら。

…色んな意味で、放っておけない。

脅威なんてもんじゃないぞ。

それこそ、聖魔騎士団全員で立ち向かわなければならないレベルだ。

ここにいる全員が、それだけの力を持ってる。

彼らの実力は、俺達も互いによく知っている。

今は、皆シルナのもとで、聖魔騎士団側についてるが。

彼らが敵に回るとしたら、それは…。

たった六人。

されど六人。

「…そんなに強いんですか?『カタストロフィ』のメンバーは」

シュニィは、冷静な声で尋ねた。

「少なくとも、あなた方と対等に渡り合えるくらいの実力はある…と言っておきましょう」

「…」

…不死身のナジュが、そう言うのだ。

相当の敵だと考えて良いだろう。
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