神殺しのクロノスタシス2
「…とにかく」

暗い空気を改めるように、シュニィが総括した。

「『禁忌の黒魔導書』の封印を解き、ベリクリーデさんや羽久さんを狙い、ルーデュニア聖王国を乱す者達を、野放しにはしておけません。なんとしても探し出さなくては」

…こっちにとっては、辛いところだよな。

放っておく訳にはいかないのだから。

もし放置して、学院の生徒や、ルーデュニア市民に何かあれば。

それは、聖魔騎士団の責任になる。

国防は、聖魔騎士団の義務だ。

「悩んでいても、何も始まりません。これ以上の被害を防ぐ為にも、急ぎ、対策を考えましょう」

「…あぁ」

異論はない。

奴らの言う、あるべき世界ってのが何なのかは知らないが。

その為に、俺達の平和を壊されちゃ堪らないからな。

結局、勝った方が正義なんだよ。

「あなたも、協力してくれますか。ナジュさん」

「こうなったのは、僕の責任ですからね。微力ながら、お付き合いしますよ。最後まで」

それは有り難い。

だが。

「…」

皆が、これからの方針を話し合っているというのに。

こういうとき、皆を鼓舞し、奮い立たせるはずのシルナが。

壁にもたれて、何やら考え込んでいるようだった。
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