神殺しのクロノスタシス2

sideシルナ

──────…羽久が去った、学院長室で。

私は、相変わらず満月を眺めていた。

綺麗だね。

私の心の醜さを、少しでも隠してくれれば良いのに。

「自分を責めるな…か」

今更言われてもなぁ。

気持ちは嬉しいんだけど。

自責の念なんて、もう何千年も感じてる。

あの日…自分の使命を捨てて、二十音を選んだときから、ずっと。

だけど、多分何回同じ選択を迫られても、私は二十音を選ぶだろう。

『カタストロフィ』は、そんな愚かな私を罰する為に、過去からやって来た怨霊なのだ。

今になって、ようやく現れた。

目を逸らし続け、誤魔化し続けてきた現実が。

あるべき世界。正しい世界。

そんな素晴らしい未来の為に、私に命を託して死んでいった人達。

彼らが私を呪い、責め殺そうとしているようでならない。

「…二十音…」

それでも私は。

それでも、君を選ばずにはいられなかったんだ。

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