神殺しのクロノスタシス2
今更、言うまでもないが。

俺の戦闘スタイルは、他の魔導師とは違う。

俺は両手に、魔法で作った拳銃を握った。

…魔弾、装填。

準備良し。

「ルイーシュ!」

「はいはい」

返事は頼りないが、ルイーシュは自分の役割を分かっていた。

いつものように、ルイーシュの空間魔法と、俺の魔弾とを組み合わせての戦闘。

他の即席ペアと違って、互いの間合いも呼吸も、完全に一致している。

相手が『カタストロフィ』だろうが、関係なし。

今までずっとそれで勝ってきたし、今回もそれで勝つ。

…つもりだった。

しかし。

「ふぁ!?」

「っ!!」

俺の向けた魔法拳銃には、全く用がないとでも言うように。

レイモンドとかいう『カタストロフィ』のメンバーは、俺を無視し。

後ろで俺の補佐に回っているルイーシュを狙って、炎の剣を振りかざした。

「ルイーシュ!」

こんなことは、今までになかった。

普通、前で武器を持ってる方を狙うだろうが。

何故、敢えて先にルイーシュを潰そうとする?

理由は簡単だ。

…この男、俺達の戦闘スタイルを知ってる。

俺達が普段、いつも、どうやって戦うのか知ってる。

だから、先に小賢しいルイーシュの方を狙ったのだ。

こ、の、野郎…!

「調子乗んな、菓子!」

咄嗟にそう叫んで、ルイーシュに二撃目を加えようとしていたレイモンドに、威嚇射撃した。

レイモンドは、予想していたかのように華麗に避け、距離を取った。

この相手…一筋縄では行かないぞ。
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