神殺しのクロノスタシス2
「何処のどいつだ!俺のシュニィに怪我させたのは!」
アトラスさんは、怒髪天をついていきり立った。
「まだいるんだろう!?隠れてないで出てこい!俺が相手だ!」
…アトラスさん。
あなたが探してる、何処のどいつは。
あなたが吹っ飛ばした扉の下敷きです。
生きてるかしら。生きてたら良いんだけど。
と言うか、あなたがいかに脳筋と言えど、あの分厚い扉を、よく蹴り飛ばせましたね。
何なら、コンクリ壁でも壊せるんじゃないだろうか。
我ながら、夫が怖い。
生まれてくる子は、アトラスさんじゃなくて、私が躾けよう。
いつか親子で壁を破壊するかと思ったら、寒気がする。
「多分…その扉の下だと思うんですが…」
「何!?そんなところに隠れてるとは卑怯な!出てきて戦え!」
隠れてる訳じゃなくて、あなたのダイナミック入室の巻き添えになっただけなんですけどね。
ちょっと気の毒になってきた…。
アトラスさんはガンガン歩いて、氷漬けの扉を持ち上げた。
するとそこには、脳震盪を起こしたらしいパーシヴァルが、白目を剥いて倒れていた。
…敵ながら、ちょっと同情した。
負けるにしても、まさか、そんな負け方をするとは思ってなかっただろうから。
「こいつか?こいつが俺のシュニィを!」
「あ、アトラスさん…。その人、『カタストロフィ』のメンバーなんです。殺さずに、聖魔騎士団で監禁して、」
「何っ!?『カタストロフィ』のメンバーだと!?おのれ、俺の見ていないところでシュニィに…!卑怯だぞ!」
場外から乱闘仕掛けたあなたの方が、余程卑怯だと思ったのは私だけですか。
「男なら、一対一で戦い…、」
「アトラスさん!」
「!」
私の叱咤に反応したアトラスが、サッと後ろに下がった。
「…ここにもいたか。役立たずが」
「…」
ふわりと上空に立つその女は、味方であるはずのパーシヴァルの心臓に、剣を突き立てていた。
捕虜になるより、自分の手で殺した方が良いと?
「…貴様が、『カタストロフィ』のリーダーか?」
アトラスさんは、私やアイナには決して見せない、険しい顔をして。
剣を掴み、今にも抜こうとしていた。
しかし。
「いかにも。だが、私はお前達には用はない」
「…!逃げるな!」
ヴァルシーナという名の『カタストロフィ』のリーダーは、フッと姿を消した。
「あいつ…!」
「アトラスさん。追っては駄目です」
私は、アトラスさんを諌めた。
追いかけたい気持ちは分かる。
だが、今は駄目だ。
「おとうしゃま…」
不安げな顔をして、自分の上着の裾を握り締めるアイナに。
アトラスさんは、いつもの優しい父親の顔に戻った。
「大丈夫だ、アイナ。お前も、お母さんも、お前の弟か妹も、お父様が守ってやるからな」
「…うん…!」
胸に飛び込んでくるアイナを、アトラスさんは愛しげに抱き締めた。
…無事で、良かった。
アトラスさんは、怒髪天をついていきり立った。
「まだいるんだろう!?隠れてないで出てこい!俺が相手だ!」
…アトラスさん。
あなたが探してる、何処のどいつは。
あなたが吹っ飛ばした扉の下敷きです。
生きてるかしら。生きてたら良いんだけど。
と言うか、あなたがいかに脳筋と言えど、あの分厚い扉を、よく蹴り飛ばせましたね。
何なら、コンクリ壁でも壊せるんじゃないだろうか。
我ながら、夫が怖い。
生まれてくる子は、アトラスさんじゃなくて、私が躾けよう。
いつか親子で壁を破壊するかと思ったら、寒気がする。
「多分…その扉の下だと思うんですが…」
「何!?そんなところに隠れてるとは卑怯な!出てきて戦え!」
隠れてる訳じゃなくて、あなたのダイナミック入室の巻き添えになっただけなんですけどね。
ちょっと気の毒になってきた…。
アトラスさんはガンガン歩いて、氷漬けの扉を持ち上げた。
するとそこには、脳震盪を起こしたらしいパーシヴァルが、白目を剥いて倒れていた。
…敵ながら、ちょっと同情した。
負けるにしても、まさか、そんな負け方をするとは思ってなかっただろうから。
「こいつか?こいつが俺のシュニィを!」
「あ、アトラスさん…。その人、『カタストロフィ』のメンバーなんです。殺さずに、聖魔騎士団で監禁して、」
「何っ!?『カタストロフィ』のメンバーだと!?おのれ、俺の見ていないところでシュニィに…!卑怯だぞ!」
場外から乱闘仕掛けたあなたの方が、余程卑怯だと思ったのは私だけですか。
「男なら、一対一で戦い…、」
「アトラスさん!」
「!」
私の叱咤に反応したアトラスが、サッと後ろに下がった。
「…ここにもいたか。役立たずが」
「…」
ふわりと上空に立つその女は、味方であるはずのパーシヴァルの心臓に、剣を突き立てていた。
捕虜になるより、自分の手で殺した方が良いと?
「…貴様が、『カタストロフィ』のリーダーか?」
アトラスさんは、私やアイナには決して見せない、険しい顔をして。
剣を掴み、今にも抜こうとしていた。
しかし。
「いかにも。だが、私はお前達には用はない」
「…!逃げるな!」
ヴァルシーナという名の『カタストロフィ』のリーダーは、フッと姿を消した。
「あいつ…!」
「アトラスさん。追っては駄目です」
私は、アトラスさんを諌めた。
追いかけたい気持ちは分かる。
だが、今は駄目だ。
「おとうしゃま…」
不安げな顔をして、自分の上着の裾を握り締めるアイナに。
アトラスさんは、いつもの優しい父親の顔に戻った。
「大丈夫だ、アイナ。お前も、お母さんも、お前の弟か妹も、お父様が守ってやるからな」
「…うん…!」
胸に飛び込んでくるアイナを、アトラスさんは愛しげに抱き締めた。
…無事で、良かった。