神殺しのクロノスタシス2
「誰だ?」

俺は、矢を射かけてきた者の姿を見上げた。

そいつは、空中で弓矢を持ち、こちらを見下ろしていた。

…ベリクリーデが本丸とはいえ。

いきなり、奇襲かけてくるとはな。

まぁ仕方ない。

「これから攻撃しますね」って宣言してから攻撃してくる敵が、何処にいるもんか。

「お前、『カタストロフィ』のメンバーか?」

「えぇ、その通りです」

そう言って、その女は再び弓矢を構えた。

…来る。

矢を放つ瞬間、俺はベリクリーデの前に防御壁を張った。

矢は防御壁に弾かれ、地面に落ちた。

「お前、名前は?」

「私の名はサディアス。『あるべき世界』の為、この命と魂を捧げた女です」

…成程ね。

丁寧に自己紹介どうも。

「『あるべき世界』を望む割には、お前が所属する『カタストロフィ』とかいう組織は、脆弱過ぎるんじゃないか?」

「…何がです?」

「お前のお仲間だよ。もう二人も倒されたんだってさ」

仲間の死を知っても、サディアスとかいう女は眉一つ動かさなかった。

「彼らには信仰心が足りなかった。絶対的なる、聖なる神への信仰心が」

成程。

そういう解釈をするか。なら。

「ここでお前が俺達に負けたら、お前も神様への信仰心が足りなかったってことになるな」

「…」

そんな俺の皮肉には、耳も貸さず。

サディアスは、地面に尻餅ついてるベリクリーデを見つめた。

「私の目的は、聖なる神を宿す者、つまりそこのベリクリーデを拿捕することです」

そうだろうさ。

「悪いが、それは無理な話だ。ベリクリーデを連れていかせる訳にはいかないんでね」

「…」

サディアスは無言で、今度はこちらを向いた。

何だ。俺に少しでも興味を持ったか?

と、思ったら。

「ジュリス・レティーナ。あなたも、『カタストロフィ』のメンバーになりませんか?」

…は?
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