神殺しのクロノスタシス2
…さて。

改めて。

「相棒、あんな有り様だが」

「あ…あぁ…」

俺は、細切れの肉の塊と化してしまった残骸を指差して、サディアスに言った。

「どうする?俺達相手に、まだ抵抗するか?それとも、降伏するか?」

こう言っちゃ、吐月に失礼だが。

召喚魔を亡くした召喚魔導師は、俺の敵ではない。

こちらは負傷させられたが、ベリクリーデも無傷だし、この程度の怪我で倒れる俺ではない。

二人がかりで、充分倒せる相手だ。

サディアスは、長年の相棒を亡くし、呆然自失としていた。

「あ…あぁ…私…私、どうしたら…」

…駄目だな。

もう、完全に戦意を失っている。

これ以上の戦闘は無意味だ。

俺とて、弱い者いじめはしたくない。

「立てよ。聖魔騎士団に連れてく。悪いようにはしねぇから安心しろ」

俺は、本心からそう言った。

拷問するつもりはないし、国際法に則った扱いをさせる。

俺がそれを保証する。

「立てないの?おんぶしてあげようか?」

呆然自失と座り込んでしまったサディアスに、ベリクリーデが手を差し伸べた。

まぁ、彼女を呆然自失にさせたのは、他ならぬベリクリーデなんだがな。

とりあえずサディアスを、聖魔騎士団に連れていこう…と。

思った、そのとき。

「がふっ」

サディアスの口から、血飛沫が舞った。
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