神殺しのクロノスタシス2
…一時間後。

学院長室は、素晴らしく美しく生まれ変わっていた。

必要書類は、部門ごとにファイルに閉じられ。

整然として並べられていた。

デスクの引き出しには、学院長秘蔵のお菓子が入っていたのだが。

それらも全部出され、代わりに、文房具やその他必需品が入れられていた。

…あーあ…。

一応、学院長が大切にしていた、生徒からの手紙や写真などは、別の容器に入れて保管されていた。

そこはちゃんと優しい。

しかし、それ以外は、全く容赦がなかった。

途中、あまりの過重労働のせいで、シュレッダーが動かなくなったりもしたのだが。

イレースさんは、動かないシュレッダーに用はないとばかりに、蹴りを一発食らわせ。

シュレッダー君の方も、「このままじゃ、紙だけじゃなくて自分まで裁断されてしまう」と怯えたのか。

その蹴り一発で、直った。

テレビを叩いて直す人はいるけど。

シュレッダーを蹴りで直す人もいるんだな。

いやぁ世の中って広い。

こうして出来た、パンパンになったゴミ袋の山は、10個以上あった。

どんだけ溜め込んでたんだって話。

これには、俺も天音さんもドン引き。

今度からあの学院長、ゴミ院長って呼ぼう。

あながち悪口じゃないよこれ。

「ふぅ…。良い仕事をしました」

良い汗かいてますね、イレースさん。

「さて、私はこのゴミ袋を、収集箱に持っていくので。天音さん、手伝ってください」

「あ、はい」

指名された天音さんは、パンパンになったゴミ袋を手にした。

…。

「僕も手伝いますよ?」

二人だけで持てるか?これ。

十個以上あるんだから。

何回か往復しなくちゃいけないだろうし。

「あなたはこの後、授業でしょう」

「あー…。そうでしたね」

僕この後、第二稽古場で、四年生の実技授業監督しに行かなきゃならないんだっけ。

第二稽古場は少し校舎から離れているし、そろそろ行かなきゃ間に合わなくなりそう。

「こちらは良いので、あなたは授業をお願いします」

「分かりました。じゃあ行ってきまーす」

「行ってらっしゃい」

天音さんに見送られ、僕はそのまま、授業の為に第二稽古場に向かった。







…その後、何が起きるかも知らずに。





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