神殺しのクロノスタシス2
…やはり、そうか。

自分から名乗ってくれるとは有り難い。

「私のターゲットはシルナ・エインリーだったんだけど…。まぁ、あんた達でも良いや」

…私達でも良いや、ですって?

「むしろ面白いかも?学院に帰ってみたら、教師も、生徒も、皆死んでんだもん」

「…」

「そのときあの学院長がどんな顔するか、見ものじゃない?きっと舌打ちするよ。便利な駒を失った…ってね」

「…」

「何で黙ってんの?ラミッドフルスの鬼教官様も、さすがの『カタストロフィ』に怖じ気付いて…」

「…とんでもない」

散々挑発してくれたのだ。

ならば、私もそれに応えなければ。

イーニシュフェルトの名が廃る、というものだ。

「あなたがあまりにも度を越した馬鹿なので、つい何と答えれば良いのか分からなくなりまして」

「…あん?」

クィンシーの顔が曇った。

「私はいつも、ラミッドフルスやイーニシュフェルトの、優秀な魔導師の卵とばかり接していたものですから。幼稚園児レベルの馬鹿と、どう話して良いものやら分かりませんで」

「…てめぇ…」

クィンシーは、明らかに怒りを募らせていた。

天音さんは天音さんで、私があまりに敵を挑発するものだから、ハラハラしている様子だったが。

問題はない。

「あなたごときが学院長を倒す?あなたごときが私達教師を殺す?片腹痛いとはこのこと。何なら両腹も痛くなってきましたよ」

更にそう煽ると、クィンシーはこめかみに血管浮き立たせて、杖が折れるのではないかというほど強く握った。

「小娘の教師風情が…生意気言いやがって…」

「お互い様では?私の目には、あなたも充分小娘ですよ」

…さて。

ここいらで、もう充分だろう。
< 410 / 742 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop