神殺しのクロノスタシス2
「ほらほらほら~っ!逃げてるだけじゃ勝てないよ~!?」

「…ちっ…」

この女。

生意気なだけかと思ったら、意外にやる。

ナジュ・アンブローシアが言っていたことは、伊達ではなかった。

『カタストロフィ』は、その一人一人が、聖魔騎士団魔導部隊の大隊長に匹敵する実力を持っている、と。

生意気な小娘だが、実力は確かと言うべきか。

クィンシーは、私に向かって、次々にクナイを投擲してきた。

しかも、私だけに。

私に煽られたのが相当不快だったのか、それとも天音さんは眼中にないのか。

狙ってくるのは、あくまで私だけだった。

対する私は防戦一方で、ただ避けるばかりだ。

…悟られないように。

「生意気なのは口先だけかな~?今土下座して謝れば、楽に殺してあげても良いよ?」

「…ふざけたことを…!」

誰が、お前ごときに謝るか。

死んでも御免だ。

すると。

「あーそっか。残念。楽に死ねる最後のチャンスだったのにね」

クィンシーの、顔色が変わった。

…来る。

途端に、飛んでくるクナイの数が倍増した。

クナイは魔力で精製しているものだ。魔力がある限り、あのクナイ無限に作り出せる。

ただ避けるだけでは…!

「っ!」

「イレースさん!」

ついに、クナイが私の腕を掠めた。

大丈夫だ。直撃した訳じゃない。ただ掠めただけ…。

それなのに。

クィンシーは、にた、と嫌な笑みを浮かべた。

何らかの企みがあるのかと疑った瞬間、私はクナイを掠めた左腕に、痺れるような強烈な痛みを感じた。

「くっ…」

そのあまりの痛みに、私は思わず膝をついてしまった
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