神殺しのクロノスタシス2
失われた記憶が、私の前に甦ってきた。
まるで、「あのとき」のことが、何もなかったかのように。
「全く、何処で油を売ってるのかと思ったら…こんなところで昼寝とは」
「族長に怒られるぞ。『イーニシュフェルトの里の賢者たる者が、鍛練を怠ってはならぬ』って」
「あはは、今の似てる」
かつての私の仲間達。家族同然に暮らしてきた若い仲間達が。
とっくに死んだはずの仲間達が。
何故か、今、私の前に立って、そして笑っていた。
…生きてる、のか?
「どうした?まだ寝惚けてるのか」
いつまでも呆然としている私に、仲間の一人が声をかけた。
「変な夢でも見てたんだろ」
夢?
「そんなはず…。あなた達は死んだはずだ。神殺しの魔法で…」
「はぁ?神殺し?」
仲間の二人は、互いに顔を見合わせ。
そして、堪えきれないように笑い出した。
「馬鹿なこと言うなよ。俺達が死んだって?勝手に殺すな。この通り、ピンピンしてるっつーの」
「それに、神殺しの魔法って…。お前、あんな伝説、まだ信じてるのか?」
「…伝説…?」
…まさか。そんなはずない。
だって私は、私は…。
他ならぬこの手で…皆の命を犠牲にして…神殺しの魔法を…。
伝説なんかじゃない。本当に起きたことなのだ。
それなのに。
「ほら、さっさと里に帰るぞ。鍛錬サボって、族長に怒られても知らないからな」
茶化すように言われ、私は差し伸べられた手を、震えながら握った。
その手には、確かに温もりがあった。
幻…じゃ、ない…?
何もかもが信じられなかった。
この場所は。この世界は。
一体、何なんだ?
まるで、「あのとき」のことが、何もなかったかのように。
「全く、何処で油を売ってるのかと思ったら…こんなところで昼寝とは」
「族長に怒られるぞ。『イーニシュフェルトの里の賢者たる者が、鍛練を怠ってはならぬ』って」
「あはは、今の似てる」
かつての私の仲間達。家族同然に暮らしてきた若い仲間達が。
とっくに死んだはずの仲間達が。
何故か、今、私の前に立って、そして笑っていた。
…生きてる、のか?
「どうした?まだ寝惚けてるのか」
いつまでも呆然としている私に、仲間の一人が声をかけた。
「変な夢でも見てたんだろ」
夢?
「そんなはず…。あなた達は死んだはずだ。神殺しの魔法で…」
「はぁ?神殺し?」
仲間の二人は、互いに顔を見合わせ。
そして、堪えきれないように笑い出した。
「馬鹿なこと言うなよ。俺達が死んだって?勝手に殺すな。この通り、ピンピンしてるっつーの」
「それに、神殺しの魔法って…。お前、あんな伝説、まだ信じてるのか?」
「…伝説…?」
…まさか。そんなはずない。
だって私は、私は…。
他ならぬこの手で…皆の命を犠牲にして…神殺しの魔法を…。
伝説なんかじゃない。本当に起きたことなのだ。
それなのに。
「ほら、さっさと里に帰るぞ。鍛錬サボって、族長に怒られても知らないからな」
茶化すように言われ、私は差し伸べられた手を、震えながら握った。
その手には、確かに温もりがあった。
幻…じゃ、ない…?
何もかもが信じられなかった。
この場所は。この世界は。
一体、何なんだ?