神殺しのクロノスタシス2
…私は、この光景を見たことがある。

でも、それはこの子じゃない。

そうだ、何故忘れていたのか。

「…違う…」

私の心を埋めるものは、こんなところにあるんじゃない。

「違う…違う、違う、違う…」

「…シルナさん?どうかしました?」

子供の母親が、心配そうに私を見上げた。

違う。

「私の居場所は、ここじゃない…」

私は、ここにいちゃいけない。

二度と、この場所に足を踏み入れることを許されない。

二度と、この場所にいた人達に顔向け出来ない。

だって、私は選んだのだから。

託された使命。期待。信頼。

それら全てを投げ打って。

私は選んだ。

この場所じゃない。

私が選んだのは、たった一人。

たった一人、愛した人の為に、私は。

悪魔に、魂を売り渡したのだ。
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