神殺しのクロノスタシス2
「えっと、ど、どうしたのイレースちゃん…。そんな怖い顔して…」
「これは何なんですかと聞いてるんです」
「ま、まぁ落ち着いて。イレースちゃんは美人なんだから、可愛い顔してた方が…」
「余計なお世話です」
ってかセクハラだよな。
「良いから、これが何なのか説明してください」
「そ、それよりイレースちゃん。マカロン食べない?私の好きなケーキ屋さんのまかろ、」
「…ちょっと、痛い目を見た方が良いみたいですね」
「ひぇぇぇ!言います!言いますから!杖出すのやめて!」
さすがは、元ラミッドフルスの鬼教官。
シルナでさえ逆らえない。
イレースは、シルナの前に一枚の紙を突きつけていた。
あの書類は…。
「それはその…。ね、必要経費だよ」
「これの何処が、必要経費だと?」
イレースは、鬼の顔でパァンッ、と書類を叩いた。
ひえっ、と怯えるシルナ。
イレースは何に怒っているのかと、ちらっと書類を盗み見てみる。
あー、成程。
請求書の束である。
「何ですか。今月のこの請求額は」
…今更ではあるが、一応説明しておこう。
我がイーニシュフェルト魔導学院の経理は、イレースが請け負っている。
彼女が来るまでは、シルナの分身が行っていたのだが。
シルナの分身は所詮シルナの分身だから、本体が何を買って、何に浪費しようと、何の文句も言わない。
しかし、イレース相手なら、そうは行かない。
彼女の性格的にも、「まぁいっか」で見過ごしてくれることはない。
重箱の隅まで、徹底的に突いてくる。
「そ、それは…!し、四月は元々色々と入り用なんだよ。新学期だしね!」
と、なんとか誤魔化しにかかるシルナだが。
「入学式にかかる費用、新入生を迎えるに当たっての諸費用は、全て三月の時点で計算しています。私が言っているのは、それ以外の出費です」
イレース相手に、そんなやんわりとした返事では通用しない。
「お、お花見会で、皆のお弁当を買ったから…」
「えぇそうでしょう。その分は差し引いてあります。それ以外です」
それ以外?
「新入生歓迎のお花見用弁当、これの費用は良いです。で?この…駄菓子屋の仕入れのような、大量の菓子代は何です?」
イレース、正に鬼神の目。
こえぇ。
「そ、それは…!お花見会でお菓子を配る為に…」
「百歩譲って、お花見で菓子を配るところまでは良いでしょう。で、それだけで何故こんなに大量の請求書が来るんですか?」
イレースが突きつけた請求書を、ちらりと見る。
一つ一つの額は大したことがないが、塵も積もれば山になる。
「学院で菓子屋でも開くつもりですか?あなたは」
新入生どころか、全校生徒に配れそうな量だな。
「お、お菓子がたくさんあったら、皆嬉しいかと思って…」
「…そんな下らない理由で、散財するとは何事ですか!」
「ひぇっ」
イレースは、容赦なく舌鋒を飛ばした。
これは怖い。
俺、当事者じゃなくて良かったー。
「これは何なんですかと聞いてるんです」
「ま、まぁ落ち着いて。イレースちゃんは美人なんだから、可愛い顔してた方が…」
「余計なお世話です」
ってかセクハラだよな。
「良いから、これが何なのか説明してください」
「そ、それよりイレースちゃん。マカロン食べない?私の好きなケーキ屋さんのまかろ、」
「…ちょっと、痛い目を見た方が良いみたいですね」
「ひぇぇぇ!言います!言いますから!杖出すのやめて!」
さすがは、元ラミッドフルスの鬼教官。
シルナでさえ逆らえない。
イレースは、シルナの前に一枚の紙を突きつけていた。
あの書類は…。
「それはその…。ね、必要経費だよ」
「これの何処が、必要経費だと?」
イレースは、鬼の顔でパァンッ、と書類を叩いた。
ひえっ、と怯えるシルナ。
イレースは何に怒っているのかと、ちらっと書類を盗み見てみる。
あー、成程。
請求書の束である。
「何ですか。今月のこの請求額は」
…今更ではあるが、一応説明しておこう。
我がイーニシュフェルト魔導学院の経理は、イレースが請け負っている。
彼女が来るまでは、シルナの分身が行っていたのだが。
シルナの分身は所詮シルナの分身だから、本体が何を買って、何に浪費しようと、何の文句も言わない。
しかし、イレース相手なら、そうは行かない。
彼女の性格的にも、「まぁいっか」で見過ごしてくれることはない。
重箱の隅まで、徹底的に突いてくる。
「そ、それは…!し、四月は元々色々と入り用なんだよ。新学期だしね!」
と、なんとか誤魔化しにかかるシルナだが。
「入学式にかかる費用、新入生を迎えるに当たっての諸費用は、全て三月の時点で計算しています。私が言っているのは、それ以外の出費です」
イレース相手に、そんなやんわりとした返事では通用しない。
「お、お花見会で、皆のお弁当を買ったから…」
「えぇそうでしょう。その分は差し引いてあります。それ以外です」
それ以外?
「新入生歓迎のお花見用弁当、これの費用は良いです。で?この…駄菓子屋の仕入れのような、大量の菓子代は何です?」
イレース、正に鬼神の目。
こえぇ。
「そ、それは…!お花見会でお菓子を配る為に…」
「百歩譲って、お花見で菓子を配るところまでは良いでしょう。で、それだけで何故こんなに大量の請求書が来るんですか?」
イレースが突きつけた請求書を、ちらりと見る。
一つ一つの額は大したことがないが、塵も積もれば山になる。
「学院で菓子屋でも開くつもりですか?あなたは」
新入生どころか、全校生徒に配れそうな量だな。
「お、お菓子がたくさんあったら、皆嬉しいかと思って…」
「…そんな下らない理由で、散財するとは何事ですか!」
「ひぇっ」
イレースは、容赦なく舌鋒を飛ばした。
これは怖い。
俺、当事者じゃなくて良かったー。