神殺しのクロノスタシス2
違う。違う。それは違うよ。

だっているんだから。

私は覚えている。

ある日いきなり、地下に繋がる扉が開いて。

その人が、私を救い出してくれた。

何一つ忘れていない。

あの人がくれた全てを、私は何一つ忘れてはいない。

私は、座敷牢の鉄格子ににじり寄った。

大丈夫だよ。

だって約束したもんね。

一人にしないよ、って。

ねぇ、だからお願い。

私の心の中にある、あなたと同じ感情。

「孤独」と呼ばれるこの気持ちを、あなたと一緒に埋めて生きていきたいから。

私は鉄格子の中から、汚れた手を伸ばした。

あなたを一人にしないから。

「『私』を…一人にしないで」


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