神殺しのクロノスタシス2
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第二部7章 (29/38)
盗聴…って言ったよな?今。
…犯罪じゃん。
でも、俺も鬼ではない。
むしろ、そこまで追い詰められてることに気づけなかった、俺の失態でもある。
だから。
「…分かったよシルナ。大丈夫だ。一緒に自首してやるから…」
「違うそうじゃない。そういうことじゃない」
じゃあどういうことだよ。
「ナジュ君が昨日、言ってたでしょ?」
「何を?」
色々言ってたぞあいつ。
「新聞部の取材がある、って」
「あぁ…。それか。確かに言ってたな」
「それを盗聴しに行く」
意味が分からない。
「何でそんなことする必要があるんだよ」
別に良いじゃないか。
ナジュの奴、新聞部の三人とは和解してるんだろ?
別に聞き耳立てる必要はない。
「だって、おかしいもん」
「…何が?」
「何でナジュ君ばっかり人気があるの?おかしいじゃん!きっと生徒達をたぶらかして、誘惑してるに違いない!」
ちょっと何言ってるのか分かりません。
とりあえず、ナジュに嫉妬してることはよく分かった。
「あんな性格なのに、何で私より人気があるの!?」
あんな性格って。
言っちゃったよシルナ。
シルナにここまで言わしめるとは、あいつの性格の悪さは筋金入りだな。
「きっと、何か良からぬ手口を使ってるんだ」
良からぬ手口って。
盗聴も良からぬ手口だろうが。
「だから、盗聴する!インタビュー受けてるところを盗み聞きするんだ!」
「あ、そう…」
何て言うか…うん。もうご勝手に。
「私は別に、ナジュ君が人気者で羨ましいから、どんな風に接すれば生徒に好かれるのか、知りたい訳じゃないんだからねっ!」
突然のツンデレやめろ。
気持ち悪いから。
「…はぁ…」
こんなことに付き合うなんて、まっぴら御免なのだが。
言って聞くシルナでもなし、断っても絶対ついてきてついてきてって駄々こねるだろうし。
…行くか。もう諦めるよ俺は。
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