神殺しのクロノスタシス2
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第二部7章 (30/38)
放課後。
俺とシルナは、新聞部の部室の隣…の部屋に陣取った。
いかに隣とはいえ、隣室の声を聞き取れるのか?と思われたかもしれないが。
そこは問題ない。
「よし、じゃあ魔法かけるよ」
「…」
シルナは、音魔法という特殊な魔法を、隣室に繋がる壁に向かってかけた。
これはまぁ要するに、スピーカーみたいなものだ。
隣の音が聞こえやすくなるという、非常にタチの悪い、ってかぶっちゃけ犯罪臭のする魔法である。
ちなみに、こういう地味な魔法を考え付くのは大抵シルナなので。
俺に罪はない。
ナジュの読心魔法も大概だが、シルナもシルナでマジでいやらしいよな。
「羽久…?今私に失礼なこと考えてない?」
「真実を考えてただけだ」
そもそも盗聴って、犯罪だから。
皆真似するなよ。
シルナの変態魔法のお陰で、聞きたくもないのに、隣の部屋の声が聞こえてきた。
「今日はあの!ナジュ先生に取材出来るんですね!」
「質問リストもばっちり準備出来てます!」
「まさか新入部員が、新卒の教師だったとは!心踊りますね!」
…新聞部の三人組の声がする。
あの生徒達、良いように騙されてたっていうのに、適応力高過ぎだろ。
すると。
ガチャ、と扉が開く音がした。
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