神殺しのクロノスタシス2
そんな訳で。

男三人衆で、動物園巡り。

何が楽しくて、こんな苦行。

「羽久見て!ペンギン!ペンギン歩いてるよあの子!可愛いね~!」

片やペンギンで大騒ぎ。

「凄いですね。今の学院長の心の中、本当にペンギン一色です」

片や勝手に人の心を読む。

俺、前世で何か悪いことでもしたか?

いっそこいつら置き去りにして、一人で動物園巡りしようか。

あるいは、俺一人だけ中央広場で待機してようか?いっそ。

「あっ!ペンギンがプールに!どぼんしたよほら!羽久見なきゃ!見なきゃ!」

イーニシュフェルトの学院長が、ペンギンのプールインくらいではしゃぐな。

「ペンギンに夢中になるのも良いですが、他の動物も見ないと、折角来たのに勿体ないですよ」

と、ナジュ。

さてはお前、もうペンギンに飽きたな。

「そういえばそうだった!次は何を見ようか。ねっ、羽久!」

俺に意見を求めるな。

「何でも良いよ別に…」

「じゃあ、さっきちらちら見えてたキリン見に行こう!キリンさんは何処かな~」

シルナ、お前そっち、猛獣ゾーンだから。

草食系ゾーンは反対側。

「待てシルナ。こっちだこっち」

「ふぇ?」

お前まで童心に返ってどうする。

こんな気持ち悪いおっさんの童心は嫌だ。

「フロアマップをよく見ろ。キリンはこっちだ」

「あっ、本当だ!」

マジでもう。幼稚園児引率してる気分。

「羽久さん優しいですね。僕だったら放置して、敢えて猛獣ゾーンでびびってる様を嘲笑うつもりだったんですが」

そしてお前は性格が悪い。

反抗期の小学生引率してる気分。

何で、俺だけこんな苦行させられなきゃならんのだ。

「生徒には悪いが、もう帰りたくなってきた…」

「頑張ってください羽久さん。僕も協力しますから」

「お前の協力は要らない」

むしろ、ボヤを炎上させるタイプだからなお前は。
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