神殺しのクロノスタシス2
次にやって来たのは。

爬虫類エリア。

「な…何だか怖い雰囲気だね…?」

既にびびり始めているシルナ。

何て言うか、爬虫類って、あれだよな。

好きな人は好きだけど、嫌いな人はマジで無理って感じ。

だって、ほら。

「ひぇっ、ニシキヘビだって…。にょろにょろ動いてるよ…」

「…」

人間の背丈を軽く越えている上に、その太さと言ったら人間の太股より太いんだぞ。

それが、ゆーっくりととぐろ巻いてにょろにょろしてたら、さすがの俺もちょっと不気味だなって思うよ。

あんなのに巻き付かれたら、一溜りもなさそうだ。

しかし。

「ヘビって頭落として串焼きにしたら、意外に美味しいらしいですね」

ナジュは、この反応。

大丈夫な人は、本当に大丈夫なんだなって。

お前はこのヘビを絞めて、食べる勇気があるとでも?

ヘビの方がお前にびびってるよ、多分。

そして、爬虫類エリアのヘビは、ニシキヘビだけではない。

「ふぇっ」

シルナがびくっ、として俺にしがみついてきた。

何でいちいち俺にしがみつくんだお前は。

「今度は何だよ」

俺だって爬虫類得意じゃないんだから、そんなにすがられても困るんだけど。

「マムシだよマムシ。ほら」

あぁ、マムシ…。

ニシキヘビより身体の大きさは小柄だが。

ぎょろっとした目と、細い舌がちょろっ、ちょろっ、と出たり入ったり。

これは気持ち悪い。

ニシキヘビとは違う意味で気持ち悪い。

ヘビ好きな人、ごめんな。

で、ナジュはと言うと。

「こいつは肉が少なそうですね」

あくまで、食べる前提。

お前、何処の熱帯雨林に置き去りにされても、逞しく生きていきそうだな。

すると、今度は。

「ひえっ」

またしがみついてきた。

何なんだよ。何がお前をそんなにびびらせてるんだよ。

「トカゲだよトカゲ、羽久」

「あぁ…。トカゲだな」

トカゲごときで、って言われるかもしれないが。

よくその辺の溝とかににょろにょろ這ってる、あの小さい奴じゃないぞ。

大きさからすると、もうイグアナに近い。

それでもこいつトカゲなのか…。でけぇ。

「…こいつは丸焼きにしても、固そうだから嫌ですね」

そして、ナジュはあくまでも食べる前提。

爬虫類ってあれだぞ。毒持ってる奴とかいるから。

食べるなら、気をつけて食べろよ。

「羽久さん。僕不死身ですから。マムシ丸かじりしても死にません」

「あぁ…。そういえばそうだったな…」

いちいち心を読むのは、お前の癖だったな。

今度、毒ヘビ丸かじりしたら、どんな味だったか教えてくれ。
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